
国旗を燃やしても壊しても罪にならない国がはたしてまともと言えるだろうか。
2026年6月24日、衆院内閣委員会で国旗損壊罪法案の質疑が行われた。
自民党・日本維新の会・国民民主党・参政党の4党が共同提出したこの法案に、中道改革連合の長妻昭氏が噛みついた。
「根底から立法事実がない」と声を荒げ、法案の正当性そのものを否定してみせた。
驚いたのはその質疑の中身。
長妻氏は自民党内で法案に慎重な姿勢を示してきた岩屋毅前外相について「見識の深さを感じる」と持ち上げ、石破茂前首相が「刑罰をもって臨むことなのか」と疑問を呈したことにも「わたしも同感だ」と賛同してみせた。
「日本死ね」を引き合いに出す感覚のずれ
もっと耳を疑ったのは長妻氏が「保育園落ちた日本死ね」の匿名ブログを引き合いに出した場面。
「一定の共感を得て、待機児童の減少につながった」と評価し国旗に政治的メッセージを書くことも取り締まるのかと問いかけた。
ちょっと待ってほしい。
「日本死ね」が2016年の流行語大賞トップ10に選ばれたとき日本中で何が起きたか。
当時、民進党の山尾志桜里氏が授賞式に出席し満面の笑みで受賞を喜んだ。
あの光景に多くの国民がなんとも言えない嫌な気持ちを抱いた。
待機児童問題への怒りは理解できる。でも、「日本死ね」という言葉を政治利用し流行語として祭り上げることとは全くの別問題。
あの不快感を忘れたのだろうか長妻は。
国旗損壊罪の議論の場で、あえて「日本死ね」を持ち出す神経がわたしには理解できない。
国旗に対する敬意と待機児童問題の切実さは本来まったく別の話。
それをごちゃ混ぜにして法案反対の材料にする姿勢に、この人の国家観がくっきりと透けて見える。
法案の提出者である自民の勝目康議員は冷静に応じた。
「表現の内容は構成要件にならない。著しく不快または嫌悪の情を催させる方法で公然と損壊する客観的な行為が要件だ」と。
つまり、何を書いたかではなく国旗そのものを壊す行為を罰するという趣旨。
長妻氏の「表現の自由が侵害される」という懸念はこの説明でかなりの部分が解消されるはず。
それでも食い下がるのは反対ありきの姿勢と言われても仕方ないだろう。
おこぼれ議席で国会に立つ者の自覚
そもそも長妻昭氏が今この場に立てているのはなぜか。
2026年2月の衆院選で、長妻氏は東京27区で敗北した。
比例東京ブロックでの復活当選。
しかもその復活当選にはちょっと複雑な事情がある。
自民党が東京の30小選挙区すべてを制し比例名簿の候補者が足りなくなった。
その結果、本来自民が得るはずだった議席が他党に流れる「名簿不足」が発生。
中道改革連合には2議席が転がり込みその恩恵で長妻氏は国会に残ることができた。
率直に言えば自民党の圧勝によるおこぼれ。
選挙区で有権者から「NO」を突きつけられ対立する自民の勝ちすぎによって議席を拾った人物が、その自民党の法案に「立法事実がない」と胸を張って反対する。
皮肉が効きすぎていてもはやコントのよう。
さらに違和感があるのは長妻氏が岩屋前外相と石破前首相の名前をわざわざ挙げて称賛したこと。
岩屋氏は雑誌インタビューで「国旗損壊罪は国民の思想統制の道具に悪用される恐れがある」と語り、法案の動機を「特定の支持層へのアピール」と切り捨てている。
石破前首相もラジオで保護法益の不明確さを指摘した。
どちらも自民党の現職あるいは前職。
党の方針に正面から異を唱えている。
長妻氏がそこに秋波を送る構図、見ていて気持ちのいいものではない。
正直なところこう思ってしまう。
岩屋さんも石破さんも、そこまで自民党の方針が合わないなら離党すればいい。
長妻氏の中道改革連合でもどこでも好きなところに行けばいいのにと。
自民党の看板で議席を守りながら、党の肝いりの法案を外から妨害する材料を提供する姿は有権者の目にどう映るだろう。
時事通信の世論調査では、国旗損壊罪の創設に「賛成」が56.7%。
高市早苗首相の内閣支持層に限れば7割近くが必要としている。
国民の過半数が求めている法整備に、「立法事実がない」と言い切る長妻氏。
その根拠は、自己所有の国旗を損壊した事例が確認されていないからだという。
事件が起きてからでは遅い。
予防的な立法という考え方は安全保障でも経済でもごく当たり前に存在する。
SNS時代に、国旗損壊の映像が瞬時に世界中へ拡散される現実を、勝目議員はきちんと指摘していた。
わたしは特定の政党を応援しているわけではない。
でも、国旗を大切にする気持ちは右も左もなく日本人として自然なこと。
その当たり前の感覚を法律で守ろうという動きに「いい加減な議論だ」と言い放つ姿勢には首をかしげざるを得ない。
自民のおこぼれで国会に送り返された現実を、長妻氏はもう少し謙虚に受け止めたほうがいい。
そして岩屋さん、石破さん。
野党から「見識が深い」と褒められて嬉しいですか。
それは味方からの賛辞ではなく、利用されているだけだということにそろそろ気づいてほしい。



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