
国の土地が勝手に使われていた
この事実だけでもう十分おかしい。
2026年5月12日参院環境委員会で驚くべき答弁があった。
北海道釧路市のメガソーラー建設をめぐり事業者が周辺の国有地を無断使用していた形跡が確認されたという。
高橋はるみ財務政務官は「事実が確認された場合には厳正に対処していく」と述べた。
質問に立ったのは参政党の梅村みずほ氏。
問題となっている事業者は大阪市中央区に本社を置く「日本エコロジー」
梅村氏によれば、国有地では無許可で草が刈り取られ、車両が通行し、道路まで造成されていた。
しかもその場所は、釧路市が天然記念物に指定するキタサンショウウオの生息地であり産卵地。
絶滅危惧種が暮らす土地を、許可も得ずに踏み荒らしていたことになる。
わたしはこのニュースを見て、胸がざわついた。
「厳正に対処」という言葉を、いったい何度聞かされてきただろう。
くり返される違反 それでも止まらない開発
この問題はきょう突然浮上したわけではない。
釧路湿原周辺でのメガソーラー建設は以前からずっと問題視されてきた。
日本エコロジーは昨年12月、市内11件もの事業予定地で一斉に伐採や整地に着手。
これは2026年1月1日に施行される釧路市の新たな規制条例を免れるための駆け込み着工だったとされる。
その時点で8件は、希少生物への影響に関する市博物館との協議すら終わっていなかった。
さらに今年に入って、国有地を無許可で通行路として使用し、橋まで架けていたことが発覚。
北海道財務局は立ち入り禁止措置や橋の撤去指導に動いた。
加えて3月には、建設予定地の土壌から基準値を超えるヒ素やホウ素などの有害物質が検出されたとも報じられている。
違反が発覚し指導が入りまた別の違反が見つかる。
このくり返し。
本当に「厳正に対処」できているのか、疑問しかわかない。
一方で日本エコロジー側は強気の姿勢を崩さない。
「我々は正義を貫く」と主張し釧路市に対して損害賠償請求すら検討しているという。
工事中断を求められたことに対し「できることは全てやった。希少生物について具体的根拠や調査結果を示すべきだ」と反論。
ここまでくると何が正義なのかわからなくなる。
少なくとも、国有地を無許可で使ったことに「正義」はないはず。
大臣が現地を見ない この国の環境行政は大丈夫なのか
きょうの委員会で、もうひとつ引っかかった答弁がある。
石原宏高環境相に現地視察を求められた場面だ。
石原大臣の回答はこうだった。
「現時点で私が訪問する予定は考えていない」。
あっさりと、拒否。
ただし「開発行為による希少種への影響が懸念される場合には、しっかりと事業者に対して適切な環境配慮を求めていきたい」とは言った。
環境の最高責任者がその目で見ずに、何をどう求めるというのだろう。
昨年の段階では、石原大臣は北海道の鈴木直道知事と面会し「地域と共生しない開発は断固阻止していく」と語っていた。
その力強い言葉と、きょうの「訪問予定なし」のあいだに、あまりにも大きな温度差がある。
文部科学省の対応もまたもどかしい。
小林茂樹文科副大臣は「北海道と釧路市の対応を注視していく」と述べた。
注視、対応、連携——聞こえはいいけれど、結局のところ、誰が責任をもって止めるのか。
その主語が見えてこない。
財務省は看板を立て、柵を設置し、職員の巡回を行っているという。
それは最低限の対応であって、問題の根本的な解決にはまるで届いていない。
国有地を勝手に使われ、絶滅危惧種のすみかが脅かされ、有害物質まで検出されている。
これだけそろっても、行政は「注視」と「対処」をくり返すだけ。
わたしたちの国土を、わたしたちの税金で管理している国有地を、事業者が勝手に使う。それがまかり通る社会で、本当にいいのだろうか。
再生可能エネルギーの推進は大切だと思う。
けれど法を無視して自然を壊し、地域を踏みにじるやり方は再エネの理念そのものを裏切っている。
厳正に対処する。その言葉に中身が伴うのか。
国民はちゃんと見ている。
注視しているのは行政だけじゃないわたしたちもまた同じだということをどうか忘れないでほしい。



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