
イギリスの地方選で政治の地殻変動が起きた。
2026年5月7日に投票が行われたイングランド地方選で、移民政策の厳格化を掲げるリフォームUKが1400超の議席を獲得。
労働党は1400以上の議席を失いウェールズでは1世紀ぶりの敗北を喫した。
保守党も550議席以上を失いもはや第4勢力。
BBCの試算ではリフォームUKが得票率26%で最大政党という結果になった。
ナイジェル・ファラージ党首は言った。
「イギリス政治における真に歴史的な転換だ」と。
ここで注目したいのはなぜこれほどまでに有権者が動いたのかということ。
その中心にあるのが違法移民の問題だ。
イギリスでは2025年だけで小型ボートによる不法入国者が3万9000人を超えた。
英仏海峡を渡ってくる人々の波は止まらない。
マムード内相は「違法移民がこの国を引き裂いている」とBBC番組で語り難民政策の抜本的な見直しを打ち出した。
難民認定後の定住申請までの待機期間を現行の5年から20年へ延長。
住宅や生活費の支援も「裁量的」なものへ変更するという。
衝撃的な数字と厳しい政策。
けれど、これはイギリスだけの話ではない。
世界を覆う「移民政策の厳格化」という潮流
いま世界各国で移民・難民政策の大きな転換が同時に進んでいる。
アメリカではトランプ政権が不法移民への罰金制度を導入し国境管理を徹底強化。
強制送還に従わない移民に対して1人あたり最大約2億5900万円もの罰金を科す方針まで打ち出した。
デンマークは中道左派の社会民主党が率いる国でありながら、欧州で最も厳しい難民制度を運用している。
難民には2年間の一時滞在許可しか与えず期限が切れれば再申請が必要。
永住権の取得には8年かかり語学力やフルタイム就労といった厳しい条件を課す。
「入口を狭くし、中に入ったら支援を徹底する」というモデル。
マムード英内相が「デンマークに触発された」と公言したのもうなずける話だ。
ハンガリーは2018年に移民支援を罰則化する法律を可決し、難民認定を激減させた。
欧州全体を見ても「寛容」から「厳格」へ潮目がはっきりと変わっている。
これらの国に共通しているのは移民政策が選挙の争点となり、国民の不満が投票行動を直接動かしているという現実。
リフォームUKの躍進はまさにその象徴だった。
有権者は「自分たちの暮らしを守ってほしい」と叫んでいる。
公営住宅に入れない国民がいるのになぜ難民には住居が提供されるのか。
治安が悪化しているのに、なぜ不法入国者が増え続けるのか。
そうした素朴な疑問が、既存の2大政党を突き崩した。
もちろん難民には保護が必要だ。
紛争や迫害から命がけで逃れてきた人々に対する人道的な配慮は国際社会の責務でもある。
世界には1億人を超える避難民がいてその多くがイランやトルコ、コロンビアといった低中所得国に身を寄せている。
シリア難民だけで約536万人。
ロヒンギャ難民は95万人超。
この現実から目をそらすわけにはいかない。
ただ、「受け入れるべきだ」という理想と「自国民の暮らしが脅かされている」という現実のあいだで、世界中の有権者がぎりぎりの判断を迫られている。
それがいまの国際社会の姿だと思う。
日本はどんな道を歩むべきなのか
では、わたしたちの国はどうだろう。
高市政権は2026年1月総合的な外国人政策を取りまとめた。
在留資格の審査を厳格化し、社会保険料や納税の確認を徹底。
不法滞在者は航空会社と連携して速やかに退去させる方針を示した。
技能実習制度に代わる「育成就労制度」では受け入れ上限数を設定し在留期間や家族帯同にも制限をかけている。
帰化要件も厳しくなり10年以上の在留と日本社会への融和が求められるようになった。
永住権の取得には日本語能力の要件も新設された。
一方で、日本の難民認定率は依然としてきわめて低い。
2025年の難民認定者数はわずか187人。
申請者1万1298人に対して認定されたのはほんの一握りだった。
G7の中でも突出して低い水準であり国際社会からの批判も根強い。
ただ、わたしはこう考える。
日本が世界と同じ道を歩む必要はない。
けれど世界の失敗から学ぶ必要はある。
イギリスが直面しているのは移民政策を長年あいまいにしてきたツケだ。
国民の不満が限界を超え既存政党への信頼が崩壊し、政治そのものが不安定になった。
デンマークのように早い段階で明確なルールを設け、運用を徹底してきた国は社会の分断を最小限に抑えている。
日本はいま少子高齢化による深刻な人手不足に直面している。
外国人労働者なしでは介護も農業も建設も立ち行かない。
しかし、だからといって「なし崩し的に門戸を開く」やり方は危うい。
ルールが不明確なまま外国人を受け入れれば、将来イギリスと同じ道をたどりかねない。
大切なのは入口の段階で明確な基準を設けること。
そして受け入れた人々にはしっかりとした日本語教育や生活支援を提供し、社会に溶け込んでもらう仕組みをつくること。
「厳しさ」と「温かさ」を両立させることが日本らしい移民政策の姿ではないだろうか。
テレビをつけても、こうした世界の潮流を丁寧に伝える番組はほとんどない。
イギリスで何が起きているかデンマークがなぜ成功しているか報じられることはごくまれだ。
わたしたちの暮らしに直結するテーマなのに知らされないまま時間だけが過ぎていく。
だからこそ、自分で調べ自分で考えることが大事だとつよくそう思う。
移民政策は遠い国のニュースではない。
わたしたちの街、わたしたちの暮らしの問題だ。



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